2012年12月号 iPhone5の恩恵
2本指フリック
iPhone5を使い始めた。快速、快適。すべてが速い。
たとえばメールを読む際、リストから選択したメールの本文が即座に表示される。ひとつひとつの操作に対する反応のタイムラグが小さいのだ。たくさん届いたメールを順に見ていくテンポが速い。
なによりうれしいのは、フリック入力が速くなったこと。サクサク入力できて気持ちいい。
iPhoneでのフリック入力は2とおりの方法で行っている。2本指と「Su-Pen」だ。
指の場合、主として用いるのは中指。「た」行と「ま」行、そして濁点や半濁点の入力には人差し指を使う。文字種の変更も人差し指だ。
例えば「しました。」と入力する場合は、中指→人差し指→中指→人差し指→中指となる。結構効率的なのだ。親指はiPhoneの左下のフチに固定して、ホームポジションを確定している。
また、長文を入力するときは、㈱MetaMoJiの「Su-Pen」がベストだ。このスタイラスペンで画面に触れると抜群に反応がいい。そのため日本語の文字を書くときの「はらい」のごとく、上下左右に動かしてフリックできる。
中でも最近発売された「CLモデル」が気に入っている。以前からある「ASモデル」より重心が前に移動し、細く長くなったので、より楽にフリックできるからだ。
このようにiPhoneによる日本語入力はすべてフリックで行っているが、以前のiPhone4では入力時に引っかかりを感じていた。文字をフリックしてからワンテンポ遅れて文字や単語が表示されるのだ。
そのため長い文章は、もっぱら㈱ジャストシステムの「ATOK Pad」で書いていた。独自の入力エンジンにより、フリック入力に対してリアルタイムに反応するからである。
Evernoteに専用のノートブックを作成してATOK Padと連携すれば、書いた文章がEvernoteに保存される。マックではEvernoteに書き、iPhoneとiPadではATOK Padで書く。08年から使い続けているEvernoteを核として、すべてのデバイスから同一の文章を読み書きできる便利な環境だ。
しかし、標準のフリック入力がストレスなく行えるほど速くなったiPhone5なら、あえてATOK Padを使う理由はない。かな漢字変換の精度が高いiPhone標準の日本語入力を使う方がいい。
またEvernoteは自動同期の間隔が最小でも「5分ごと」である。例えばマックのEvernoteに文章を書いて、直後にマックを閉じてしまうと、編集内容がクラウドに反映されていないため、出先で続きを書こうとiPhoneを開いて、立ち往生することになる。
ワークフローの変化
そこで、文章執筆環境の中心を「メモ」に移行した。iPhoneがiOS6になり、マックのOSもMountain Lionになったことで、iCloudを介した「メモ」の連携が深まって、実用性が高くなったからである。
マックでもiPhoneでも、「メモ」に文章を書くと即座にその内容がクラウドに反映される。同期中を示すための回転するアイコンなどは一切ない。ユーザーに何も意識させることなく、全自動で瞬間的に同期されるのだ。それは「書いたものが後から同期される」というより、直接クラウドに書いているかのような安心感である。
ただし、いまのところ「メモ」には一括読み込みの機能がない。いまでEvernoteに書いた各種の文章をすべて読み込みたいが、できない。あくまで未来志向なのである。
iPhone5によってブログを公開するまでのワークフローも変化した。従来はEvernoteで下書きし、それをコピーしてからSafariで開いたブログの編集画面にペーストしていた。またiPadでは最終的に「Drift Writer HTML Editor」にペーストして、写真のタグなどを張り込んでいる。
現在、下書きは「メモ」に書く。それをコピーしてブログの編集画面や「Drift Writer HTML Editor」にペーストし、ブログを公開すると同時に、Evernoteにもペーストしている。Evernoteは後に検索するためのデータベースとして使っているのだ。
また短文の書き方も変わった。フリック入力が快適になったiPhone5だが、音声入力の使い勝手も格段に向上したからである。twitterやFacebookに書き込むとき、周囲の状況が許せば、基本的にしゃべって入力している。
これはiPhone5がLTEに対応した恩恵である。従来3G接続だと、しゃべってから文字になるまでしばらく待つ必要があった。その間思考が中断されるし、さっと書いてさっと投稿したいのに待たされるもどかしさがあり、結局フリック入力で書いた方が速かったのだ。
だがLTEだと、Wi-Fiで接続しているのと同等に、テンポよく入力できる。音声ファイルをサーバーに送信して文字情報として送り返してくるまでの通信が速いからだ。
道を歩きながらiPhoneを凝視して指で文字入力するような危険なことは絶対にすべきではないが、しゃべって入力できるなら街角でも可能である。その用途はtwitterなどの書き込みだけではない。歩きながら思いついたアイディアをボイスレコーダーに録音する代わりに、声から直接文字として「メモ」に記載できるのだ。文字を書くことなく「覚え書き」を残せるのである。
iPhone5の恩恵
iPhone5のテザリングも重宝している。スターバックスなどでマックを開いて仕事をする場合、インターネット接続にiPhone5を使うのだ。あまりに便利なのでWiMAXのルーターは解約した。
ただし街ではWi-Fiルーターが急激に増えたため、マックをWi-FiでiPhone5につなぐと混信などによって通信速度が極端に低下したり、接続が不安定になったりする。そこで私は、USBケーブルでマックにiPhone5をつないでいる。通信のついでに充電もできて一石二鳥である。
最後に、電話としてのiPhone5の使い方を書いておこう。今回私はソフトバンクからauにMNPした。以前から保有している防水・耐衝撃の携帯電話(G'zOne W62CA)と合わせてauに2回線持つことになったのだ。
そこで着信転送を活用している。自分が保有する2回線なので家族割が適用されるから、転送料金は無料。どちらの番号にかかってきた通話も1台で受信できて便利だ。
設定も簡単。転送元の電話から「1424」に通話し、転送先の電話番号を入力するだけ。普段はW62CAからiPhone5に転送し、スキー場や海では逆に転送するように設定している。
電話1台とルーターの分、荷物が軽くなり、クラウドの使い勝手も向上。おまけにMNPによってiPhoneに必要な基本料金も安くなった。私にとってiPhone5導入のメリットは非常に大きいのだ。